最近では、調剤薬局で薬剤師から、「ジェネリックにしませんか?」と声を掛けられるのも当たり前になってきたように、広く浸透してきたジェネリック医薬品(後発医薬品)。オリジナル薬と同じ有効成分で作られた薬品で、効能や安全性が既発薬と同等であると認可されたうえで発売される。開発にかかる期間が新薬に比べて短いため、価格が低いことが最大の特徴だ。
“一般的な”という意味の「ジェネリック(generic)」に由来するジェネリック医薬品だが、近年は「ジェネリック・コスメ」という言葉も若い女性を中心に広がりを見せているという。一体、どのようなコスメのことを指すのだろうか。SNSマーケティングに詳しい、ネット広告代理店勤務の女性・Aさんは、こう説明する。
「ディオールやシャネル、トム・フォード、クレ・ド・ポーボーテ、イヴ・サンローランなど、デパコス(百貨店のブランドコスメ)は高品質ではありますが、やはり価格が高く、若年層が手軽に購入できるわけでありません。そこで人気が出てきたのが、いわゆるブランドコスメと“そっくり”な、ほぼ同じ使用感が手に入る代替プチプラコスメです。それをジェネリック医薬品になぞらえて、“ジェネリック・コスメ”などと呼ぶ人が増えています」(Aさん)
こうした代替コスメがトレンドとなっている背景について、「SNSで支持される投稿の変化にあるのではないか」、とAさんは続ける。
「2010年代は『プチプラ』と呼ばれる低価格帯のコスメの質が高まり、幅広い年代に受け入れられるようになりました。それに加えて、ちょっと前までのようにインスタグラムでおしゃれな日常やブランド品を見せびらかす『顕示的消費』が流行らなくなってきた、という側面もあると思います。
自分のライフスタイルを自慢する投稿ではなく、『1万2000円するデパートコスメと似たような効果の商品が、1000円で手に入るよ!』といった、等身大の投稿が人気です。またコロナで外出できず、コスメのために人混みの百貨店まで足を運びづらいという人にとっては、近所のドラッグストアで購入できるプチプラ品には手が伸びやすいですよね」(Aさん)