個体の識別技術の進歩が切り開く可能性
ペット産業といえば、どうしても労働集約的で、ローテクのイメージが強いが、最新技術の導入によって、市場が大きく拡大する可能性が出てきた。
中国本土マスコミ(東方財富ネットなど)によれば、アリババの支付宝保険プラットフォームでは、ペットの鼻の皺模様で個体を識別する技術を公開すると宣言したという。
人間では被保険者の特定は難しくはない。行政管理が徹底しているからだ。しかし、動物ではそうはいかない。識別技術の進歩はペット保険などの普及を大きく加速させる可能性があるだろう。
日本のテレビでは連日、ペットを扱った番組が放送されている。日本人のペット愛は中国人に負けず劣らず強いはずだ。
ペットフード協会によれば2018年10月現在、犬の飼育頭数は890万頭、猫は965万頭、合計1855万頭である。ここ数年の傾向を見ると、犬は減少、猫は横ばいといった状況で、ペットブームが来ているというわけではない。しかし、少子化の続く日本では、ペットを我が子のようにかわいがる夫婦がたくさんいるのも事実。少子化の裏側で、ペット産業の潜在的な需要は充分大きい。
日本では、旅行、飲食、小売、エンタメ業界などで経営環境が大きく悪化しており、先行きを見通せない厳しい状況が続きそうだが、中には成長が見込めそうな市場もある。新たに参入する分野として、また業態転換先として、ペット産業にビジネスチャンスがあるかもしれない。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。