JAL、ANA両社の5月の旅客数(国内・国際線)は前年同月比で約94.7%減と壊滅的だったが、航空業界同様、大打撃を受けたのが旅行業界だ。観光庁によると、4月の主要旅行業者47社の総取扱額は、前年同月比95.5%減と大きく落ち込んだ。
旅行業界に詳しい日本大学国際関係学部准教授の矢嶋敏朗氏は、「各社はビジネスモデルの転換を迫られている」と話す。
「国内の大手旅行代理店は修学旅行やMICE(国際会議や展示会などのビジネス需要)といった団体旅行の企画力を武器に世界と戦ってきた。いずれも“密”が売りのビジネスモデルで、同じようには続けられない。ただ、これまで団体旅行向けに人員を割く組織編成にしてきたし、旅館や自治体との関係もある以上、いきなりターゲット全てを個人に変更するのは大手では難しい」
旅行業界は学生の就職先ランキングでも常に上位に入る人気業種だが、そこで働く人たちが大変革の荒波に晒される。
すでに大手のJTBでは冬のボーナスがゼロとなることが明らかになっている。
「先行きがあまりに見えず、大手でも退職を考える社員が増えている。ただ、この状況で辞めても次の仕事が見つかるかわからないから、判断は相当厳しい」(業界関係者)