コロナ禍で迎えるお盆。7月に入り、帰省がきっかけで、新型コロナの感染が拡大する例が増えていることから、帰省を断念した人も多いかもしれない。実際、株式会社クロス・マーケティングが全国の20~69才の男女を対象に「お盆の帰省に関する調査(2020年)」を実施したところ、78.2%が「今年のお盆は帰省する予定はない」と回答している。
全国的に感染者数が増加しつつある状況にあっても、子どもや孫の顔見たさに帰省してほしいと強く願う祖父母がいる一方で、田舎に県外者を招くことに抵抗を持つ人も少なくない。立命館大学産業社会学部教授の筒井淳也さんがいう。
「特に感染者が少ない地域だと、都市圏からの来訪者に厳しい目を向けがちなのでしょう」
まだ感染者ゼロの段階の時、岩手県出身の青年が父親と交わしたやりとりもネット上で話題になった。6月19日に県をまたぐ移動の自粛が解除されたのを受けて「そろそろ帰省していいか」と青年が父に尋ねたところ、「絶対に帰るな。岩手1号はニュースだけではすまない」という返事が送られてきたというのだ。
同様に、都会に住む若者の帰省を断固として拒否する例は後を絶たない。
「独立して東京に住んでいる息子たちが『兵庫のおばあちゃんに会いたい』と言うので、子供だけ帰省させることを提案したところ、『私を殺す気か!』と義母に激怒されました」(大阪府・50代の主婦)
かと思えば、帰省する息子たちを迎え入れながらも、近所に対して後ろめたさを感じている人も多いようだ。
「近所のかたが、『東京から息子夫婦が帰省してきます。こんな時期なのに申し訳ありません』と菓子折を持ってきたんです。私なら、義父母がそんなに後ろめたい思いをしているなら、喜んで帰省をパスしますけどね」(富山県・30代の主婦)