株式の計算方法にもルールがある。前出・岡野氏の解説。
「上場株式は相続財産としての計算法が決まっています。本人が亡くなった日の終値、亡くなった月の終値の平均価格、その前月、前々月の終値の平均価格のうち、最も安い価格です。財産目録を作る段階なら、直近のひと月の平均価格か記入日の終値で試算しておけば問題ありません」
貴金属は「買取価格」を記入する必要がある。
「例えば100万円で購入したダイヤモンドには現時点で100万円の価値はなく、あくまで買取価格が相続財産としての価値になります。自己評価で高い値段をつけないようにしましょう」(前出・岡野氏)
また、被相続人が亡くなったときのために加入した生命保険は、「みなし相続財産」として、相続財産と同等に扱われる。
岡野氏は、「亡くなった夫が“妻が亡くなったときのための生命保険”の保険料を払っていた場合は注意が必要」と言う。
「この生命保険の解約返戻金については、相続財産になります。本人名義でないので財産目録への記入を忘れがちですが気をつけてほしい」
財産目録には、住宅ローンや借金など「負の財産」もすべて記入する必要がある。
「中でも見落としがちなのが、本人が亡くなると相続人に引き継がれる債務保証です。相続財産として把握しておかないと、ある日突然『借金を払ってください』との連絡が相続人に入ることがあります」(前出・岡野氏)
※週刊ポスト2020年8月14・21日号