7月17日には、三陽商会が銀座8丁目の旗艦ビル「GINZA TIMELESS 8」を売却、8月末で営業を終了すると発表した。
三陽商会はかつて、イギリスのアパレルブランド・バーバリーとライセンス契約を結び、銀座にも店舗を構えていた。しかし2015年にその契約が終了し、大きな屋台骨を失った。その苦境に、再びコロナが追い討ちをかけた格好だ。不動産ジャーナリスト・榊淳司氏が語る。
「銀座の表通りに建つビルが売却されるのは、例年だと年に1例あるかないかだと記憶しています。ここまで短期間に有名ビルが手放されるのは異例で、大きな変動期を迎えているといえる」
100年以上の歴史を誇る「山野楽器銀座本店」は、4月から地下1階から2階までの3フロアをKDDIに貸し出すことを3月末に発表した。
1915年から銀座に店舗を構え、昭和初期から国内外のレコード・楽器を扱ってきた同店は、公示地価が日本一高いビルとしても知られる(坪単価は1億9074万円)。CD・DVDを販売していたメインの3フロアを賃貸せざるを得ないほど、コロナ禍の影響が大きかったのか──そう同社広報室に尋ねるとこう回答した。
「当社ではコロナとは無関係に、昨夏に賃貸を行なうことを決定しました。近年の音楽ソフト市場の縮小などの環境変化に対応しつつ、本店の不動産価値をより活かし、収益力を強化する方法を検討した結果の判断です」