人と金が集まる街・銀座に進出することは、日本のビジネスに関わる者にとって最高のステータスだ。
国交省が発表する「公示地価」によると、東京・銀座の坪単価は平均9301万8782円。バブル期には一坪あたり3億5000万円を超えた土地もあったと言われる。
4丁目の時計台の下で待ち合わせ、百貨店や高級ブランド店でショッピングを楽しむ。夜になれば高級クラブのネオンが街を彩った。高級寿司店やバー、クラブには、政治家や経営者、銀幕スターから作家までが通い詰める。銀座はまさに「憧れの街」だった。
しかし、その地価の高さは、ひとたび売り上げや業績が低迷すれば経営が立ち行かなくなることを意味する。実はコロナ禍において、銀座の有名店舗の“主”が続々と入れ替わっているのだ。
象徴的な売買劇が起きたのが「ティファニー銀座本店ビル」だ。
1996年のオープン以降、数々の高級ブランド店が立ち並ぶ銀座2丁目において一際存在感を放ってきた同ビルを、個人資産として所有していた孫正義・ソフトバンクグループ会長が、不動産大手・ヒューリックに売却。売買金額は300億円超と報じられている。