1月に増田寛也・元総務相が社長に就任したが、官僚出身のエリートで改革への執念は感じられない。こうした状況を打開できるのは、土光氏のような経営者が相応しいだろう。
まず機先を制する威嚇の術で、取締役会の主導権を握る。土光氏は「エリート大学出の秀才面した奴」が大嫌いで、「個人の能力には大きな差はなく、あるのは根性と持続力の差だ」というのが信条だった。
学歴に関係なく根性と執念をもつ執行役員を抜擢し、日本郵政グループの完全民営化のスキームを立案させ、総務省とのもたれあいから切り離した完全民営化へ向けて抜群の行動力を発揮するだろう。石播や東芝、臨調で見せた実行力があればできるはずだ。
郵便局員のフットワークを活用した訪問介護や、弁当宅配などの事業へ進出するかもしれない。組織も、NTTのように東西に2分割して経営の効率化を図ったり、都市部の一等地にある大きな郵便局の不動産を有効活用して収益を上げたりすることも考えるだろう。
日本郵政に必要なのは、国に頼らず、忖度せず、自力で生きていける組織に生まれ変わらせることができる経営者である。
※週刊ポスト2020年8月14・21日号