会社員版“将来の夢”ともいえる目標設定やキャリアプラン。会社の人事評価にも影響するだけに、上司と相談して完成させる人も多いだろう。自身のビジョンが明確でスラスラ書ける人がいる一方で、うまく書けない人もいる。目標設定に苦しむ20~30代の若手社員たちのネックになっているものは何か。
30代の男性商社マン・Aさんは、就活で多用される「ビジョン」や「キャリアプラン」といった言葉に飽き飽きしたにもかかわらず、入社してからもずっと目標設定を強いられる現状にほとほと嫌気が差していると明かす。
「キャリア面談で提出しなくてはならない目標設定やキャリアプランって、意味があるのか疑問です。だって、いくら5年後や10年後どうなっていたいか書こうが、状況は常に変化しているわけですし、その時になってみないとわからないことも多い」
Aさんが勤務する企業では、期ごとに部署のMVPが発表される。多くの社員はそれを目標に頑張っている面もあるというが、Aさんは否定的だ。
「他の社員たちを見ていると、目標がその賞を取ることにすり替わっている感じがします。長期的なプラン設定の“踊り場”的な感じでモチベーション維持に貢献しているのでしょうが、MVPを獲得すると、もうそこが人生の頂点とばかりに泣く人もいて、何か違和感を抱いてしまいます。目標なんて変わるかもしれないし、5年後や10年後のことなんて自分でもわからない。そもそも、ずっと同じ会社にいるかもわからないくらいです。目の前の仕事と真摯に向き合い続けることがすべてなのでは」(Aさん)
IT企業に勤める30代の女性会社員・Bさんは、キャリアプランについて「何も書けなかった」とため息交じりに言う。