住んでみたい街の理想と現実には、得てして大きな差があるものだ。憧れのあの街は果たして本当に素敵な街なのか? まったくノーマークだけど、実は住みやすい街は? 今回は「十条」(東京都北区)について、ライターの金子則男氏が解説する。
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住む街を探す際、雰囲気、交通の利便性、治安など、気になるポイントは色々ありますが、非常に重要なのが物価。SUUMOが7月20日に発表した「物価が安いと感じる街ランキング」で、1位に輝いたのが十条です。ベスト10のうち半分を足立区が占めるなか(梅島、西新井、五反野、竹ノ塚、青井)、並み居る“強豪”を押しのけ、見事にトップに立った街の実力を見ていきましょう。
鉄道はJR埼京線のみ。ただ、池袋まで2駅で6分、新宿まで11分、渋谷まで17分と、交通の便は非常によいです。渋谷駅の埼京線ホームが山手線の隣に移動したのは、埼京線ユーザーには嬉しいニュース。ただし混雑具合は酷く、「もう少し本数を増やして」という声は多く聞かれます。頼みの埼京線が止まった場合、10分ほど歩けばJR京浜東北線の東十条駅があります。
道路状況は、住む場所によって大きく左右されます。北側には環七(環状七号線)が通っており、環七経由で国道17号、国道122号、川越街道など、主要幹線道路へスムーズにアクセスできますが、駅前は道が入り組んでおり、裏道に入ると道が狭くて難渋しがちです。環七は確かに便利ですが、交通量は凄まじく、幅の狭い2車線の道路をビュンビュン飛ばすので、初心者はヒヤヒヤすることでしょう。運転に自信が無い方にはちょっとハードルが高いかもしれません。
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アンケート調査で「物価が安い」とお墨付きを受けた十条ですが、その看板に偽りはありません。街の最大の魅力である『十条銀座』は、東京を代表するアーケード商店街で、物価の安さは折り紙付き。居酒屋、大衆食堂、洋服屋など、どの店もおしなべて価格は安く、惣菜などは昭和かと見紛うような値段が付いています。お茶屋、魚屋、パン屋、和菓子屋など、昔ながらの個人商店も元気で、歩くのがとても楽しい商店街です。