「あともう少し年収が増えたら生活が楽になるのに…」――そう嘆きたくなる気持ちはわかる。しかし、現実には、必ずしも年収が増えたからといって、生活にゆとりができるとは限らない。逆に言うと、節約の意識や、無駄を減らす努力を怠らなければ、たとえ年収が平均以下でも、1000万円世帯以上に余裕ある暮らしは可能なのだという。
国税庁の調査(2019年)によると、会社員の平均年収は440万7000円で、そのうち女性の平均は過去最高の293万円だった。また、厚労省のデータでも、1世帯あたりの所得の中央値(2017年)が423万円となっていることから、430万円前後が平均的な家庭の年収とわかる。
一方、国税庁によると平均年収が1000万円を超えているのは全体のたった5%しかいない。「年収1000万円」は現代の日本人にとっての「ステータス」だと、東京フィナンシャル・アドバイザーズ代表で公認会計士の能勢元さんは語る。
「女性が理想とする結婚相手の条件や、ビジネスマンの目標として『年収1000万円』は掲げられやすい金額です。しかし、現実には日本人の平均年収の2倍以上もあり、かなり稀な存在です」
“平均世帯”の庶民からすると、外車に乗り、タワーマンションに住み、海外旅行に毎年出かける「セレブ」な暮らしに憧れを抱く。しかし実際には、高収入であっても苦しい生活を送っている家庭は少なくないという。