「なんでも気軽に相談できる親子関係だったら……、人生はもっと楽しかったのかな」──そうため息まじりに話す梨花さんは、件のママ友たちの様子をこう分析してみせる。
「精神的な余裕を感じる、というんでしょうか。お金では代えられない幸せ感がひしひしと伝わってきます。自然に出ているであろう、あの笑顔、私にはないものです。きっと、パートに出るといっても、お小遣い稼ぎの感覚でしょう。我が家とは違う……」
「自然体を見るのがしんどい」
夫婦だけの力で頑張っていこうと決めている片岡家は、子供が幼いうちからできるだけ貯金をするように心がけている。そのため、贅沢は一切せず、つつましい生活を送っているそうだ。
「よく聞く、“ブランド品マウンティング”や“リッチな生活アピール”をされたほうが、わかりやすいのでいいです。それなら私もスルー出来ると思う。でも、生まれ育った環境によって生じる格差を目の当たりにするのは、『辛いなあ』と感じてしまいます」
親との関係に悩み、自身の生育環境を恨んでいる様子の梨花さんからすれば、周りのママ友たちが意識もせずに話す「実家ばなし」が、心に刺さるようだ。
「“我が家、普通ですよ”っていう感じの自然体を見るのがしんどいです。本人たちは意識していないのかもしれませんが、私からすると十分羨ましい」
特に意識しなくても、生活環境の違いは自然とにじみ出てしまうのかもしれない。自分では気付かなくても、身近な人から“羨ましい”、“妬ましい”と思われている可能性があるのだ。梨花さんの告白から、マウンティングの奥深さを知ることができたような気がする。