人生100年時代、初めて迎える超高齢社会を突如襲ったコロナ禍に、暗澹たる気持ちで過ごしている人も多いのではないか。翻って、『還暦からの底力 歴史・人・旅に学ぶ生き方』(講談社現代新書)の著者で、立命館アジア太平洋大学(APU)学長の出口治明さん(72才)と、『70才のたしなみ』(小学館)の著者で、昭和女子大学理事長・総長の坂東眞理子さん(73才)は意気軒昂だ。2人は同世代で、ともに異分野から大学の学長、総長になり、後半生の生き方を説いた著書は現在20万部を超えるベストセラーになっている。コロナに心を押し潰されずパワフルに生きる2人が、コロナ禍の大学のあり方に関して語り合った。
坂東:新型コロナウイルスの流行は1月頃には想像もつきませんでしたが、あれよあれよという間に世の中が様変わりしてしまいました。昭和女子大学は創立100周年のアニバーサリーイヤーで様々な計画がありましたが、すべて見直しです。
出口:APUも今年は開学20周年ですが、やはり計画を端から見直して、来年に繰り延べました。
坂東:とても残念でしたが、愚痴を言っても仕方がない。この環境で自分たちは何ができるのか頭を働かせて実行するしかありません。考えてみたらコロナに限らず、そもそも人生は予期せぬ出来事の連続です。想定外の局面で自分がどれだけベストを尽くせるか――それこそ出口先生のおっしゃる“底力”であり、力量の見せ所なのだと感じます。
出口:同感です。ぼくはコロナは自然災害と捉えています。つまり、人間にコントロールできないものが来てしまった以上はあきらめるしかないと。台風と同じですよ。なんでこんな世の中になったのかとクヨクヨせずに現実を受け入れて、どう対応するかを前向きに考えるべきです。
坂東:「私の日頃の行いが悪いからこんなことになってしまったんだわ」なんて悲観しない、と(笑い)。