全国各地で大雨が猛威をふるい、災害への備えがいかに大事かを思い知る機会が増えた。関東では定期的に地震が起こり、大地震への不安が膨らんでいる。首都圏には3000万人以上が暮らしているが、これほど人口が密集した都市への大地震直撃を人類はまだ経験していない。「必ず起こる」といわれる巨大地震からどう身を守るべきか。
被害損失95兆円「震度7」が東京を襲う可能性
地球上のわずか0.28%の国土面積しかないにもかかわらず、世界で起こったマグニチュード6以上の地震の約2割は日本近辺で発生しており、わが国が地震大国であることは言うまでもない。
近年、「史上最悪」といわれる被害が想定されているのが「首都直下地震」だ。国の地震調査委員会は2013年に開かれた会議で、「今後30年以内に70%の確率で起こる恐れがある」と発表した。
この首都直下地震は19のパターンが想定されており、震源地は千葉市、横浜市、さいたま市、羽田空港など関東の主要エリアが並ぶ。その中でも、最も甚大な被害を与えるとされるのが「都市南部直下地震」だ。震度6強から震度7の揺れをもたらし、首都中枢機能に甚大な影響を及ぼす。
これまでに震度7を記録した地震が発生したことのない東京の被害想定は、死者2万3000人、負傷者数12万3000人、避難者数720万人、経済損失は95兆円にものぼると考えられている。しかし、その被害は正しい知識を持ち、震災への備えを整えておくことで軽減させることが可能だ。
犠牲者の半数は火災が原因に
想定される死者のうち、約半数の1万6000人は火災による犠牲者だという。東京大学生産技術研究所教授の加藤孝明さんが話す。