北区に目を向けると、大正時代に改修工事が始まるまで、荒川は大きく蛇行していた(地図内「B」参照)。「新河岸川」は工事の際に新たに掘削された川であり、かつての荒川の流路と重なる部分が多い。「浮間ヶ池」はかつて荒川が流れていた名残である。
台東区の上野駅から田端駅を経て東十条駅までの間、JRの線路が台地と低地の境界を走っている(地図内「C」参照)。こういった激しい高低差の境(崖)は普段は擁壁で支えられているが、激しい揺れで低地側へと崩れ落ちる恐れがある。
1981年より前に建てた家は倒壊リスクも
さらに、現在の住まいの築年数も危険を知る重要なポイントだ。建築された時代によっては、台地上であっても倒壊リスクがある。早稲田大学理工学術院教授の長谷見雄二さんが語る。
「1981 年の建築基準法の改正以前は住宅の耐震基準がとてもゆるかった。その当時に建てられた住宅は巨大地震の揺れに耐えきれない恐れがあるほか、老朽化により柱が腐食している可能性があります」
古い木造住宅ならば1階は潰れる恐れがある。寝室は2階以上にした方が安心かもしれない。
※参考/東京都建設局「東京の液状化予測図 平成24年度改訂版」、東京都都市整備局「地震に関する地域危険度測定調査」、国土交通省国土地理院デジタル標高地形図、『首都大地震 揺れやすさマップ』(目黒公郎監修/旬報社)、『川の地図辞典 江戸・東京/23区編』(菅原健二著/之潮)
※女性セブン2020年8月20・27日号