組織で活躍するか、フリーになって活躍するか──。8月6日に放送された『AbemaPrime』(AbemaTV)では、お笑いジャーナリストのたかまつななさん(27)がスタジオに生出演し、2年4か月勤めたNHKを退局したことを語った。たかまつさんは確固たる「やりたいこと」があるためフリーになる道を選んだという。同番組にコメンテーターとして出演していたネットニュース編集者でフリーランス歴19年の中川淳一郎氏が、あらためて「フリーという働き方」について考察する。
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たかまつさんは、「若者に政治に関心を持ってもらいたい」というライフワークを実現するためにNHKで働くことを選びましたが、自分がそれをNHKで達成するには10年、20年かかってしまうから辞めたと語っていました。それを「私の力不足」ともおっしゃっていましたが、謙遜でしょう。
彼女はありあまる「本当にやりたいこと」に今すぐにでも注力するために辞めたのではないか、とご本人を前に感じました。たかまつさんのこれからの栄えあるキャリアを心から祈念します。
しかし、たかまつさんのような決断は、誰にでもできるものではありません。たかまつさんは20代での決断でしたが、特に40歳を過ぎてそれ程の実績を挙げられていない人がフリーになることは、私はあまりおススメしません。フリーになるのであれば、20代がいいと思います。遅くても35歳ぐらいまでではないでしょうか。
自分自身はもうすぐ47歳になりますが、なんとかフリーで生き残ってこれました。本当に「なんとか」ですし、ラッキーな出会いが複数あったことから仕事をいただけましたが、「自由な働き方」といったイメージは大間違いです。
なにしろ、所詮は「下請け」なんですよ。世の常で商売の上流から下流に流れるにつれ、報酬は安くなっていきますし、労働基準法もあったもんではない。発注主にキチンと休みを取ってもらうべく休日もなくなるのは当たり前。さらには突然「今月で最後にしてもらいたいのですが……。コロナのこともありましてねぇ……」なんて言われてしまうこともあるのです。
この仕事が未来永劫続くことを見越して現在の少し高い部屋をオフィス兼自宅としていたのに、この仕事がなくなると家賃が支払えなくなってしまう。引っ越しをしようにも引っ越し代と新しい家を借りる場合の敷金礼金&不動産手数料を払うカネもきついため、当面その部屋を維持しながら、営業をせざるを得なくなります。しかし、営業をしようにも今度はどこも「コロナで仕事が減ってしまいまして……」なんて言われるのです。となると、残された手段は実家に帰るという話になるのですが、いい年した息子・娘が突然家に帰ってくると近所で「あら、○○さん家の××君、お仕事はどうしたのかしら?」なんて噂を立てられかねません。