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暗証番号を口頭で… キャッシュレスに挑戦した高齢者の赤っ恥事件簿

「操作もひと通り予習してコンビニに行ったのですが、支払い時に決済画面が開かない。飛沫感染防止シート越しに店員さんにスマホを渡そうとしても“コロナ感染予防のため、操作はご自身でお願いしています”と取り合ってくれない。そうこうしているうちに、レジ待ちの行列ができてしまった。感染予防で間隔を空けて並んでいるから、すぐに列が長くなってしまって凄いプレッシャーです。いたたまれず現金で支払いを済ませました」

 ほかにも「慣れてきたので財布を持たずにスーパーに行き、1万円近い額になるまとめ買いをして、レジで颯爽とスマホを差し出したら、まさかのバッテリー切れ。かごの中身をすべて戻す羽目になった。こういうご時世だから、一度誰かが触った商品にはみんな手をつけたがらない。周囲から白い目で見られて、もの凄く悪いことをしているような気分になった」(70代女性)、「キャッシュカード決済は手書きでサインするものだと思い込んでいたら、店員に暗証番号を求められた。咄嗟に“○○○○です”と数字を口頭で答えたら“お客様、こちらの機械に入力を……”と言われ大恥をかいた」(70代男性)といった失敗談が聞かれた。

 キャッシュレス決済に悪戦苦闘するのは消費者だけではない。都内の個人タクシードライバー(60代)がぼやく。

「組合の方針で一斉にスマホ決済を導入したが、ドライバーは60代後半から70代が中心で、機械の使い方が分からない人が多い。私も配布された機械やステッカーはトランクに積んだままです。ただ、コロナ後はお客さんに“キャッシュレスじゃダメなの?”と聞かれることが増えて……。乗り慣れた人に“あれ? お宅の(タクシー)組合はスマホ決済を導入したはずでは?”と詰め寄られ、しどろもどろになってしまったことがある」

“新しい支払い様式”の広がりは、「便利は不便の始まり」という言葉も想起させる──。

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