バラエティ番組『幸せ!ボンビーガール』(日本テレビ系)の人気コーナーに、東京で一人暮らしを始めるための物件を探す女性に同行する「上京ガール」というものがある。出演するのは、「吉祥寺で家賃2万円」「世田谷区内で家賃3万円」など、なるべく安く東京に住みたい女性ばかりだが、彼女たちの多くが唱えるのが「オートロック付き」という条件だ。
周囲が顔見知りだらけの実家とは違い、見知らぬ人で溢れた東京で暮らすなら、防犯が気になるのは当たり前。建物の入口にカギが付いていれば、確かに安心感は飛躍的にアップする。しかし、オートロック付き物件は家賃が高いうえ、デメリットもある。高校卒業後に徳島県から上京したKさん(20代女性)は、こんな失敗談を語る。
「新宿区にある大学に合格しましたが、両親は『新宿』と聞いて、治安は大丈夫かと大騒ぎ。両親の強い希望でオートロック付きの物件を借りました。しかしこれが失敗でした。
大学に近すぎてサークル仲間のたまり場になってしまい、うんざりしたある時、オートロックでシャットアウトしたのに、部屋のドアをノックする人がいました。玄関にはオートロックがあるものの、裏の自転車置き場から中に入れる構造になっており、友人がそこから侵入したのです。そのことを知らず、本当に不用心でした」(Kさん)
もっともありがちなデメリットは「締め出し」だ。会社員のFさん(40代男性)は、オートロックのせいで寒空に放り出された。
「冬の夜、部屋に入ってから車に携帯電話を忘れたことに気づいて、マンションの駐車場まで行ったのですが、今度は家のカギを部屋に忘れたことに気付きました。一人暮らしで、時間は深夜2時過ぎだったので、誰かの後にくっついて入るという作戦も出来ません。翌朝まで車のエンジンをかけて暖を取りましたが、案の定風邪を引きました」(Fさん)
うっかり者のFさんは、ゴミを出しに行って締め出されたこともあるという。そういうタイプの人には暗証番号タイプのオートロックなら安心かもしれないが、これも曲者だ。新宿区のオートロック付きマンションに住むYさん(40代女性)はいう。