13日の米国市場は、NYダウは反落、ナスダック総合指数は続伸とまちまちの展開だった。ただ、米長期金利の上昇とともに一時1ドル=107円台まで円安が進み、14日の日経平均は堅調なスタートを切った。オプション8月限SQ(特別清算指数)通過後は、前日までの急ピッチの上昇から売り買いが交錯しこう着感が強まったものの、後場は小高い水準でもみあった。日経平均は前日比39.75円高の23289.36円と4日続伸で大引けた。
今週の日経平均は、スピード調整を交えながらも上値を試す場面がありそうだ。8月に入り日経平均は2週間で約1570円超の上げを見て、13日には6月9日の戻り高値23185.85円を上回ってきた。日経平均が1月22日以来となる24000円台乗せに一気に挑戦するとは考えにくいものの、6月から続いたボックス相場の上限を上抜いてきたことは確かであり、基調の陽転は侮れない。8月以降の上昇相場は、米国市場の上昇と為替の円安、そして新型コロナウイルスに対するワクチン開発の進展が支援材料となっている。
アメリカの製薬大手ファイザーとドイツ企業が開発する新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験において、ウイルスに対する抗体が検出され、ウイルスの働きを弱める中和抗体の量が上昇することも初期段階の結果として確認されたことが英国の科学雑誌「ネイチャー」に掲載された。ワクチン開発が成功した場合、日本政府も来年6月末までに6000万人分の供給を受けることで合意していることが好感されている。
まだ結果は不透明ながらも、ワクチン開発にひとまずのメドが付き始めたとみたマーケットは、「脱コロナ」を意識しはじめている。
これまで売り込まれたトヨタなど自動車株やコマツ<6301>など機械株といった景気敏感株が値を戻している。この景気敏感株の買い戻しと、SUMCO<3436>や東京エレクトロン<8035>など半導体関連の出直りがどの程度継続するかが、ボックス相場を上抜けた今後の日経平均の上げ幅を左右してこよう。
ただ、14日で今回の決算シーズンは一巡したが、景気敏感株およびバリュー株の個々の業績は厳しいものが多く、4-6月期が収益の底と判断するには時期尚早というムードが国内マーケットではまだ強い。為替や海外株高などの外部要因が働かなければ、日経平均は上値の重さが意識される水準にある。
今週の主な国内経済関連スケジュールは、17日に4-6月期GDP速報値、6月鉱工業生産・確報値、19日に7月貿易収支、6月機械受注、21日に7月全国消費者物価指数、7月訪日外客数の発表がそれぞれ予定されている。
一方、米国など海外主要スケジュールでは、17日に米8月NY連銀景気指数、米8月NAHB住宅市場指数、18日に米7月住宅着工件数、19日に米7月28、29日開催分のFOMC議事要旨、ユーロ圏7月消費者物価指数、20日に米8月フィラデルフィア連銀景気指数、米前週分新規失業保険申請件数、21日に米7月中古住宅販売、米8月製造業購買担当者景気指数速報値、ユーロ圏8月製造業購買担当者景気指数速報値の発表が予定されている。