ネット証券大手・楽天証券の3月の新規口座開設数が歴代最多の16万件を超えるなど、株式投資を始める人が増えているという。
「金と株価が同時に高値水準にあるのは、極めて異例な状況です」
そう解説するのは、『金を買え 米国株バブル経済終わりの始まり』(プレジデント社)の著者で、エモリキャピタルマネジメント代表のコモディティ・ストラテジスト、江守哲氏だ。
「現物資産である金は、本来なら株式などの金融市場が不調なときに買われるもので、『有事の金』と呼ばれます。金投資は株式投資のリスクヘッジと考えられるので、いまのような株高では本来、高値をつけません。
株高なのに金価格が上昇するのは、インフレリスクを見越した動きとみてよいでしょう。インフレになると現金の価値が下がるので、資産価値を守るために現物資産(金)に投資する動きが進む。さらに金価格が最高値をつけるほど注目が集まっていることで値上がり益も期待できる。
金は資産を保全するための現金の代わりであり、新型コロナ対策として世界的に金融緩和や財政出動が続く以上、インフレ懸念はくすぶり続け、当面、金投資への流入は続くとみています」(江守氏)
株式市場に目を向けると、好調なのは日経平均だけではない。米国ではアマゾンやアップルなど巨大IT企業が上場するナスダック総合指数が7月下旬以降、史上最高値を更新し続けている。グローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏が語る。
「こうした米国の巨大IT株は、コロナ禍でも業績が影響を受けにくいどころか、テレワークや巣ごもり需要で買いが入っています。そうした米国株が現金の“避難先”に選ばれている背景には、FRB(米連邦準備制度理事会)の大規模な金融緩和に加え、11月の大統領選を控えたトランプ大統領の景気刺激策が米国株の上昇を支えていることもある」