「当然これは自分のものだ!」と思っていた遺産が相続財産に戻されてしまうケースがある。意外と多いのが、夫を亡くした妻のヘソクリだ。
夢相続代表取締役で相続実務士の曽根恵子氏がいう。
「ヘソクリやタンス預金は“妻が夫のお金を取り分けただけ”とみなされ、相続財産とされることが多い。
特に専業主婦なのに夫の預金より妻の預金のほうが多い場合、相続の申告をしないと税務署から遺産隠しを指摘される可能性があります。配偶者は法定相続分か1億6000万円まで無税で相続できますが、念のため申告しておくべきです」
夫が亡くなる前後に、妻が預金口座から生活費としてお金を引き出している場合も気をつけたい。
「この場合も相続財産に含まれることが多い。税務署は過去の預金通帳の履歴から不自然な出金を調査するので、お金を引き出した場合はこまめにメモをして、何に使ったか使途を説明できるようにしておきましょう」(前出・曽根氏)
ルールを知ることでミスを回避し、面倒な手続きをせずに済ませたい。
※週刊ポスト2020年9月11日号