会社員であるならば、ほとんどの人にとって「定年退職」は避けて通れないもの。はたしてその瞬間を迎えた時に人は何を考えるのか? 8月31日をもって「セミリタイア」をしたネットニュース編集者・ライターの中川淳一郎氏(47歳)。今後はメインで活動していたネットニュース編集から離れ、細々とライターとしての仕事のみを続けるというが、そんな中川氏が疑似体験している「定年退職」直後の率直な心境をつづる。
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定年退職って現在は65歳ですが、ちょっと早く定年退職しちゃいました。いや、私は会社員ではないので、「定年」というのは違いますが、フリーランスとしてのセミリタイア宣言は亜種の「定年退職」といえましょう。そうしたところから、今の率直な気持ちを述べます。
悲しい……。
これに尽きるんですよ。本来、私は9月2日の水曜日、小学館にて『NEWSポストセブン』の編集作業をするために11時から19時30分ぐらいまでいるはずでした。9時40分には風呂に入り、10時15分に電車に乗って神保町に行く、というルーティンがあったのですが、この日はこれがなかった。
「あぁ~、すがすがしいな」と思うよりも本当に「悲しい」「寂しい」と思ってしまったのです。自分から「辞めます!」と言ったにもかかわらず、「悲しい」ってバカなんじゃないの?と思ったほどです。
そして私の後任がこの日は小学館でキチンと仕事をしてくれました。実際に見ていないので分からないのですが、多分、つつがなく仕事を終えたことでしょう。
こうした状況が来るのを何年も願っていたにもかかわらず、自分が「終わった人」になることがここまでキツいことなのだとは新鮮な驚きでした。私はこれまで年間364日働き、「もう仕事なんてしたくねぇ~!」と言ってきたのですが、まさかの「悲しい」という気持ちになるとは……。