8月ISM非製造業景況指数が予想を下回ったことが嫌気され、アマゾンなどハイテク株が売られて3日のNYダウ。ナスダック総合指数とも大幅安となった。これを受けた4日の日経平均も一段安で始まると、今晩の米8月雇用統計の発表と米国市場の3連休を控えた週末事情から幅広く利益確定売りが先行して、終日マイナス圏で推移した。物色的には地銀株の逆行高が目立った。日経平均は前日比260.10円安の23205.43円で大引け、3日ぶりに反落した。
今週の日経平均は、23000円台を固める動きが見込まれる。日経平均は8月25日戻り高値23431.04円を抜き一時は23580.51円まで上昇した。その後は戻り売りに上げ幅を縮めてはいるものの、1月以来となる24000円台も視野に入る動きとなっている。NYダウに続いて日経平均もコロナショック後の高値を付けたことで、相場的にはある種の達成感も出ている。
実際、4日は一段安となったものの、そのきっかけとなった米国市場の下げは、経済情勢の悪化というよりもハイテク株の高値警戒感からくる利益確定売りが広がった結果ともみられる。東京市場は、今週末の11日にメジャーSQを控えており、米国株の動向と先物をにらんで神経質な動きとなる可能性はあるものの、為替相場で円高傾向が強まらない限りにおいて、日経平均が23000円を割り込む材料は見当たらない。
翌週15-16日のFOMC(米連邦公開市場委員会)と16-17日の日銀金融政策決定会合までは、強調展開が継続する期待がある。物色面では潮目の変化が表れている。米国ではアップルやアマゾンが3日に下落、日本では初の6万円乗せを達成した任天堂<7974>が4日に反落した。グロース(成長)株およびハイテク株に利益確定売りが先行する一方、バリュー(割安)株に資金と関心がシフトする可能性が高まっている。ハイテク株は相場的な過熱感が指摘されていたことから、調整を入れるタイミングでもあった。
一方、著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米バークシャー・ハザウェイによる三菱商事<8058>など5大商社株式の大量保有報告をきっかけに、バリュー株に物色の矛先が向いている。このほか、菅義偉官房長官とSBIホールディングス社長による地銀再編、地銀連合構想の発言で地方銀行株に急騰が目立ってきた。
大手商社、地銀株ともに相場的に出遅れていたほか配当利回りの面でも注目でき、物色人気を持続する期待がある。一方、ハイテク株とともに相場的な過熱感が指摘されていた直近IPO(新規上場)を中心とするマザーズ銘柄も一服感が出ている。ただ、新首相登場をにらんで政策絡みのテーマ株物色も高まりやすい地合いとなっており、個別では人気化する銘柄も出てくるだろう。
今週の主な国内経済関連スケジュールは、7日に7月景気動向指数速報、8日に7月家計調査、7月毎月勤労統計調査、4-6月期GDP確報値、8月景気ウォッチャー調査、9日に8月マネーストック、10日に7月機械受注、11日にメジャーSQ算出日、8月国内企業物価指数、7-9月期法人企業景気予測調査がそれぞれ予定されている。
一方、米国など海外主要スケジュールは、7日に中国8月貿易収支、レイバーデーで米国休場、8日に米7月消費者信用残高、9日に中国8月消費者物価・生産者物価指数、10日にECB定例理事会(ラガルド総裁会見)、米8月生産者物価指数、11日に米8月消費者物価指数、米8月財政収支、EU財務相会合(ベルリン、12日まで)が予定されている。
このほか、自民党総裁選関連では8日に告示、14日に投開票、そして17日に臨時国会が召集され新首相が選出される見込みだ。