投資情報会社・フィスコが、株式市場の8月31日~9月4日の動きを振り返りつつ、9月7日~9月11日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は3週間ぶりに上昇しコロナショック前の水準を終値ベースで回復した。
市場予想を上回った経済指標を好感して28日のNYダウが3日続伸した流れを受けて、週初8月31日の日経平均は一段高でスタートした。菅義偉官房長官が自民党総裁選に出馬検討との報道が安心感につながったほか、米投資会社バークシャー・ハザウェイによる三菱商事<8058>などの大手商社株式の大量保有が伝わり日経平均は、前週末比459.67円高まで上昇する場面もあった。しかし、通信政策に対する警戒感からNTTドコモ<9437>などメガキャリアの急落もあり、大引けにかけては上げ幅を縮小した。なお、8月月間の日経平均は2カ月ぶりに上昇に転じた。
米中対立への懸念が強まるなか31日のNYダウは反落したものの、ナスダック総合指数は上昇し過去最高値を更新した。9月1日の東京市場は前日の急伸から利益確定売りが先行する一方、値がさグロース(成長)株の一角や商社株が買われ、日経平均は前日の終値を挟んでもみ合う展開となり、大引けでは前日比1.69円安で大引けた。
1日の米国市場は8月のサプライマネジメント協会(ISM)製造業景況指数が2018年11月以来の高水準となったことが好感されNYダウは反発、ナスダック総合指数は連日で過去最高値を更新した。2日の日経平均もこの流れをくんで大幅高でスタートしたものの、手掛かり材料に乏しく上値は重い展開となった。個別では日経平均構成銘柄に新規採用されたソフトバンク<9434>の動きが注目されたものの、朝高後は伸び悩んだ。除外銘柄の日本化薬<4272>は東証1部の株価下落率トップに沈んだ。
2日の米国市場では、景気敏感株を中心に買い進まれてNYダウは2月20日以来となるコロナショック前の29000ドル台を回復した。この動きを好感して、3日の日経平均は続伸し、高値では23500円を超え、終値ベースでもコロナ後の最高値を更新した。利益確定売りも出て上値を抑えたが、為替がやや円安水準で推移していたことも寄与し、総じて底堅い動きをみた。個別では8月の月次売上高の発表を受けてファーストリテイリング<9983>や良品計画<7453>が上昇、地銀連合構想の前進を手掛かりに地銀株の一角がにぎわった。また、2008年7月以来およそ12年ぶりとなる6万円台乗せを達成した任天堂<7974>にも注目が集まった。