大前研一「ビジネス新大陸」の歩き方

7人に1人が辞職希望 官僚を幸福にしない自民党政権というシステム

 今回のスーパーシティ構想も、初めにデジタル政府ありきで新しい国家運営の基本理念を発想し、それを実現するための仕掛けを作っていくということであれば期待が持てた。しかし、立案担当者と話し合ったところ、これも国家戦略特区の一つでしかなく、ゼロベースの改革には程遠かった。

 結局、今の自民党政権下では、たとえ官僚が日本をもっと良い国にしようと思っても、ほとんど何もできないのだ。私が知っている有能な若手官僚たちも、すでに諦めの境地である。これをひっくり返して官僚がモチベーションとエネルギーを持続できるシステムに転換しなければ、この国は永遠に変わらないだろう。

●おおまえ・けんいち/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。現在、ビジネス・ブレークスルー代表取締役会長、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊は小学館新書『新・仕事力 「テレワーク時代」に差がつく働き方』。ほかに『日本の論点』シリーズ等、著書多数。

※週刊ポスト2020年9月18・25日号

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。