酒税法改正に伴い、10月1日から「新ジャンル(第3のビール)」が値上がりする。350ミリリットル換算で9.8円の増税となるが、タバコも増税で10月に値上がりするなど、身近な嗜好品の増税ラッシュは、コロナで苦しむ庶民の財布を直撃しそうだ。
財務省は「酒類間の税率格差を解消するため酒税改革に取り組む」として、2023年10月には新ジャンルの税率は「発泡酒」に統合される。さらに2026年にはビール、発泡酒、新ジャンルをすべて同じ税率に一本化される。そうなると、新ジャンルは最終的に現行より26.25円の増税となる(350mlあたり、以下同)。一方、ビールの税金は段階的に減っていき、今年10月には7円、最終的に22.75円の減税となる。ちなみにチューハイは2026年に7円の増税となる予定だ。
新ジャンルは、低価格でありながらビールの味わいを感じられる商品として人気を呼んでいただけに、増税に対して不満を持つ人は少なくない。
30代の男性会社員・Aさんは、新ジャンルの値上げをスーパーの酒売り場の告知で知ったばかり。憤りを隠さない。
「新ジャンルが売れているからといって、狙い撃ち増税するのはよくないでしょう。せっかく、安くておいしいビールを作ってくれている企業の努力を踏み潰すようなことを、よく平気でできるなと思います。増税前にはたっぷり箱買いしようと考えています」(Aさん)
実際、新ジャンルの売れ行きは絶好調で、ビール大手4社の決算の中でも大きな存在感を見せている。だが、そもそも低価格が売りであるため、値上げによってこの流れは失速しかねない。Aさんは続ける。
「段階的かつビールを値下げするというのも、すごく小賢しい戦法に思えます。モノが違うのに、税率を近づける意味が正直まったくわかりません。過去には発泡酒が槍玉にあげられ、今度は新ジャンル。第4、第5のビールが生まれるんじゃないかっていうくらい、いたちごっこが続くのでは?」(Aさん)