現在、清水は千葉県鴨川市に終の棲家を建設中だ。
「ちょうど仲間が30人ほど集まって鬱蒼としたジャングルを切り開いたところで、地震にも火事にも強いログハウスを造ろうと思っています。どんな粗末なものになっても、自分が作ったものなら満足できるでしょう。だからこの家も手作りです」
人生を過ごす最期の場所をすべて自分の手で作るというのは、1つの理想の形であり、最高の贅沢かもしれない。
そこで清水が目指すのは、「友達や仲間が気兼ねなく訪ねて来る家」だ。
「かつて読んだ本に『死ぬ瞬間、友達をもっと大切にしておけばよかったと後悔することが多い』とあり、友人や仲間が気兼ねなく訪れる家が大切と思うようになりました。自慢したり気を使わせたりする場所ではなく、友達が気持ちよく訪ねて来られる家こそが、最高の終の棲家です」
末っ子の息子が成人する頃、清水は87才。息子に父の背中から「生きる力」を学んでもらうため、終の棲家では、できるだけ長く一緒にいたいのではないか──そう問うと、清水はいたずらっぽく笑って答えた。
「いやいや、建設中なのはあくまで“現時点”の終の棲家です。嫁さんが変わったら、また造り直すかもしれません」
終の棲家に固執しすぎない。そんな余裕も、最期まで楽しく人生を過ごすためには必要なのかもしれない。
※女性セブン2020年9月24日・10月1日号