10日のNYダウは、週次新規失業保険申請件数が予想外に増加したほか、原油安が嫌気されて反落に転じた。これを受けて11日の日経平均も一段安で朝方寄り付いたものの、時間外取引における米国株先物の堅調展開を手掛かりに切り返す展開となった。後場もジリ高基調を維持して、日経平均は前日比171.02円高の23406.49円と続伸して大引けた。個別では楽天<4755>、日本電産<6594>が連日の年初来高値更新となった。なお、この日は日経平均先物・オプション9月限のメジャーSQ(特別清算指数)算出日で、SQ値は23272.88円だった。
今週の日経平均は23000円の攻防が継続しそうだ。ニューヨーク市場ではハイテク、テクノロジー株への売りが継続してNYダウは不安定な展開が継続している。新型コロナの経済対策を巡る共和党と民主党による米議会合意への期待が後退しているほか、原油市況の下落、米中対立の先鋭化が警戒されている。ただ、為替相場が落ち着いているなか、新政権と経済の回復に向けての期待もあって、東京市場は押し目買い意欲の強さも意識されている。引き続き、NYダウと米株先物の時間外取引の動向をにらんだ展開が継続しそうだ。また、新型コロナウイルスワクチン開発のニュースは日米ともマーケットインパクトが大きいことには注意が必要だ。
このほか、16日にはパウエルFRB議長が会見し、経済見通しを発表するほか、米8月小売売上高も発表されることも注目材料として控えている。一方、東京市場にとって国内は、意外と好転材料が増えている。政権与党である自民党の支持率上昇、東京都が新型コロナウイルス感染状況の警戒レベルを引き下げ、そして11日発表の7-9月期の法人企業景気予測調査は、大企業の全産業の景況判断指数(BSI)が1年ぶりにプラス転換し、企業心理が持ち直している。
このほか、テクニカル的にも日経平均の25日移動平均線が23000円台に乗せてきたことが注目される。この25日線が下値サポートラインとなってくれば、24000円大台を意識する展開に入ってくる期待もある。
物色的には、総合商社から、海運、機械株に広がったバリュー(割安株)株の水準訂正が、陸運、水産、化学、建設株などに広がる循環物色が期待される。ただ、翌週は東京市場が22日まで4連休となることから、週後半にかけては利益確定売りが強まりやすいことは注意点だ。また、この4連休をにらんで「Go Toキャンペーン」関連がテーマ的に、にぎわう期待もある。
一方、売りが続くグロース(成長)株およびハイテク、テクノロジー株は落ち着きどころを探る展開が継続することになるだろう。グロース株切り返しのカギを握る米スマートフォン大手のアップルは、日本時間16日午前2時からオンラインイベントを開催する。5G(第5世代移動通信システム)対応の新型アイフォンの発表はない模様だが、その発表スケジュールを意識させるイベントとなるだろう。国内的には17日に雪国まいたけ<1375>の東証1部IPO(新規上場)が予定され、IPO動向にも関心が向きそうだ。
今週の主な国内経済関連スケジュールは、14日に7月第三次産業活動指数、16日に日銀金融政策決定会合(17日まで)、8月貿易統計、17日に黒田日銀総裁会見、18日に8月全国消費者物価指数、8月訪日外客数がそれぞれ予定されている。
一方、米国など海外主要スケジュールは、15日にFOMC(16日まで)、米9月NY連銀製造業景気指数、米8月輸出入物価指、米8月鉱工業生産・設備稼働率、中国8月工業生産、中国8月小売売上高、中国8月都市部固定資産投資、16日にパウエルFRB議長会見(経済見通し発表)、米8月小売売上高、米9月NAHB住宅市場指数、17日に米8月住宅着工件数、米8月建設許可件数、米9月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、18日に米4-6月期経常収支、米9月ミシガン大学消費者マインド指数が予定されている。