「アベノミクスの継承」を掲げる菅義偉政権がスタートしたが、今後の日本株の見通しはどうなるのか。グローバルリンクアドバイザーズ代表・戸松信博氏は次のように分析する。
「新政権になっても日銀をはじめ世界の中央銀行は圧倒的な金融緩和を続け、市場にジャブジャブに溢れた資金が引き起こす金融相場は今後も継続する見通しです。資金が溢れることでお金の価値が下がり、株式をはじめとするリスク資産や金などの資源価格の価値が上がりやすい環境が続くと見ています」
つまり日本株は、今後も上昇基調が続くという見通しだが、その中でも個別の銘柄については、「コロナ禍でも業績が堅調な銘柄を中心に資金が集まりやすい」(戸松氏)と見る。そうした観点から、戸松氏が今後の業績拡大とそれに伴う株価上昇が期待される5銘柄をピックアップし、その注目ポイントを解説する。
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【オリエンタルランド(東証1部・4661)】
東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは、足元では業績悪化で賞与7割減やダンサーなどの配置転換といった悪いニュースが続いているが、コロナが徐々に収束していけば、圧倒的なブランド力で業績が回復していくと見ている。2020年に『美女と野獣』、『ベイマックス』などの新アトラクションを導入するのに続き、2021年度には『トイストーリー』シリーズをテーマとする新たなホテルを開業予定。2023年度にも、大規模拡張プロジェクト「ファンタジースプリングス」により、『アナと雪の女王』を含めた3つのエリアやホテルのオープンを計画中だ。中長期的にも集客力がより高まることが期待される。
【デジタルアーツ(東証1部・2326)】
菅政権の重点政策でもあるマイナンバーの利用が活性化していくことにより、これまで以上に情報セキュリティの強靭化が求められるようになる。セキュリティ対策に必須のフィルタリングソフト国内最大手のデジタルアーツは、契約更新率90%超えという顧客満足度の高さと、継続的に収益が入る安定した収益基盤を持つ。同社の強みは、セキュリティ大手ではなかなか見られない、人の手による細かなソフトの更新をしているところにある。有害サイトの9割は自動で検知されるとしても、その網をくぐり抜けてくる残り1割を専門スタッフが毎日チェックして除外する。その積み上げが圧倒的なデータ蓄積につながり、今後も収益増が見込めるのではないか。