昨今のコロナ禍で、オンライン授業が導入されるなど、大学生を取り巻く環境は大きく変わった。新入生はせっかく入学したキャンパスに足を踏み入れることができず、友人たちとのつながりがオンライン中心になったという人も多いだろう。
振り返れば大学生をとりまく生活様式は、時代とともに大きく変化してきている。バブル期の華やかな時代は「女子大生ブーム」が巻き起こり、メディアに多くの現役女子大生が登場。さらには「アッシー君」「メッシー君」「ミツグ君」などの言葉も生まれた。では、特に団塊ジュニア世代に該当する、その直後の時代の大学生たちは、どんな生活を送っていたのだろうか。1993年(平成5年)から1997年(平成9年)まで大学生だったネットニュース編集者の中川淳一郎氏(47)が、「メディアがそれ程大学生を取り上げることはなかった」という当時の大学生の生活様式を振り返る。
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当時は携帯電話が普及する前夜といった感じで、3年生まで所有している者はほぼおらず、4年になると時々見かけるようになった程度でした。ですから今の時代の学生からすれば想像しにくい「生活様式」だったかもしれません。また、トレンディドラマブーム後の社会だったため、恋愛への憧れが強かった時代でもあります。そうした背景から、今の大学生には考えづらい生活様式をザッと挙げてみます。
【飲み会・待ち合わせ編】
・飲み屋を「予約」するという概念はあまりなく、集合場所は駅前だった。
・18時に待ち合わせ、となった場合、17:50頃からポツポツと集まり始め、17:57には全員が揃っていることが多かった。
・18時5分になると「遅い!」とキレる者が出て、駅の掲示板にチョークで「山田へ 遅いぞ! 多分『一休』にいる。そこにいなかったら『村さ来』にいる 吉田」などと書いていた。
・この掲示板には漫画『シティー・ハンター』の影響を受けて「X・Y・Z」と書かれている。
・ビール以外は飲んではいけない雰囲気があり、特にカルーアミルクやカシスオレンジを男が飲んでいると「女みたいなヤツだな」と言われた。
・飲み会が終了したら、アパートで独り暮らしをしているヤツの部屋へ行き、皆でテレビを見たりスーパーファミコンをしたり、麻雀をした。