「ウィズコロナ」の世界では、あらゆる局面でこれまでの常識が通用しなくなっている。外出自粛で様々な業界が存続の危機に立たされ、テレワークの浸透で満員電車に耐えてオフィスに通う働き方も過去のものとなった。それは働く人やその家族、そしてリタイア世代の生活や人生設計にも大きく影響している。
中でも激変しているのが「住宅」についての常識だ。かつて羨望の的だった都市部のタワーマンションはその存在価値に疑問符がつき、一方でこれまで見向きもされなかった「意外な街」「意外な物件」に注目が集まっている。
さらに「災害」も住まい選びに影を落としている。巨大台風や豪雨災害が毎年のように列島を襲う中、これまでの「持ち家神話」は崩壊寸前だ。あなたのマイホームが、「最大の資産」から「不安材料」に転落してしまう日がやってくる。
都心から郊外へ
住宅需要の変化を最も顕著に感じ取っているのは、現場で働く不動産会社の社員たちだ。
「『都心から郊外へ』という現象が起きていると感じます。東京の西部ではここ数年、新宿まで電車で一本で行けて、駅前も開発された立川駅や国分寺駅周辺の人気が高かったのですが、最近ではそれより遠い東村山市や、埼玉県の所沢市、狭山市、川越市なども注目され始めています」(多摩地区の不動産会社社員)
コロナ禍で「理想の街」は激変した――多くの不動産業界関係者の実感を裏付けるデータが発表された。ライフルホームズが9月8日に発表した「コロナ禍での借りて住みたい街ランキング(首都圏版)」だ。