同調査では、これまで通常ランキングで4年連続で1位だった「池袋」が5位に後退し、上位常連組の「三軒茶屋」が11位、「川崎」が12位にまで後退した。代わってトップに輝いたのは、神奈川の「本厚木」、2位は東京東部の「葛西」だった。住宅評論家の櫻井幸雄氏が分析する。
「小田急線の本厚木駅は都心から約45km離れていますが、新宿まで1時間弱。東京メトロ東西線が通る葛西は、都心へのアクセスが良好な一方で朝のラッシュが敬遠されてきたが、コロナ禍で契約者の判断基準が変わってきたと考えられます」
続いて、3位「大宮」、4位「千葉」、6位「西川口」、10位「町田」と、都心からやや離れた街の人気が軒並み上昇した。
この傾向は、同調査の「コロナ禍での問合せ増加率ランキング」でもうかがえた。1位となったのは、千葉県の「八街(やちまた)」で増加率146.2%だった。
「八街は千葉からJR総武本線で約30分、都心の住民でも読み方を知る人は少ない。不動産業界でも注目度は高くなかった。都心から1時間以上離れていますが、賃貸・分譲ともに人気が上がり、緊急事態宣言解除後の6月に販売が開始された駅近の3LDK3000万円前後の分譲マンションは即日完売して抽選物件も出ました」(櫻井氏)
他にも問い合わせ率が増加したのは、相模原、小田原、藤沢、稲田堤などの郊外エリアだった。
※週刊ポスト2020年10月2日号