一方で歓迎の声もある。
「『もう終電なので』と言えば会社の残業を減らして早く帰れるし、2次会を断わる口実もできる。終電繰り上げはウェルカムです」(20代OL)
終電で帰るサラリーマンがくだを巻く「夜の街」には大打撃となる。経済ジャーナリスト・福田俊之氏が語る。
「特に深刻なのが2次会、3次会をメインにするカラオケやバー、スナックなどの業態。飲み屋で1次会を済ませた後、『終電までの1時間だけ』とカラオケなどに寄っていたサラリーマンたちは、今後終電に間に合わなくなるため、1次会で解散するケースが増えるのではないか」
2次会需要に支えられてきた新宿・歌舞伎町や銀座のバー、スナックなどは客足が遠のくかもしれない。その一方、特需の期待に胸を高鳴らせているのが、埼玉や千葉などのベッドタウンの飲み屋だ。
「終電繰り上げでサラリーマンの帰宅時間が早くなれば、『飲み足りないから地元でもう一杯』となりそう。新しい需要が生まれるのではと今から期待しています」(八王子市のスナック経営者)
他の「夜の娯楽」にも変化の兆しがある。例えば映画館だ。あるシネコンの広報部によると、「終電を考慮した上映スケジュールにしている劇場もあります。そうしたところは終電繰り上げとなった時点で何かしらの対応を行なうでしょう」とのこと。
「終電に間に合わない上映が取り止めになるなど、映画館によってはレイトショーをやめるところが出てくるかもしれません」(福田氏)
※週刊ポスト2020年10月2日号