量的緩和(QE)拡大の壁が高いことが失望感につながるとともに、予想を下回った経済指標も嫌気されて17日のNYダウは5日ぶりに反落、ナスダック総合指数も続落した。18日の日経平均は菅新政権への高い支持率などを好感して朝方に上昇する場面があったものの、17日の米国株安や円高・ドル安基調が警戒されてマイナスに転じる場面もあった。4連休を控えて積極的な買いが手控えられるなか、売りも限定的で日経平均は前日比40.93円高の23360.30円と小幅反発して大引けた。
今週の日経平均は、底堅い相場展開が見込まれるなか方向感を探る展開となりそうだ。FOMCで、ゼロ金利は2023年末まで据え置かれることが確認された一方、QE拡大の壁が高いことが意識された。日銀金融政策決定会合では金融政策の現維持が示されて、市場にとってサプライズはなかった。日米の金融イベントを通過するなか、1ドル=104円台への円高進行が上値を抑えている。
日経平均は9月に入り23000円を割り込んだのは9日のわずか1日だが、一段の円高進行があった場合は、この23000円の攻防に視点が移ることになりそうだ。このほか、国連総会では22日にビデオ演説の形で米中ロ首脳が一般討論演説を行う(菅新首相の演説は25日)。米中対立の先鋭化が表面化すれば、相場のかく乱要因となる懸念がある。
一方、菅義偉首相の下での新内閣の支持率は高いことが伝えられていることは好材料だ。海外投資家による現物株と先物合計の売買は前週の2356億円を上回る2週連続売り越し3339億円の売り越しに拡大した。菅新政権に対する安心感から、この海外投資家も買い転換してくる期待も膨らむ。
18日には、香港の大手投資ファンドが今後4年間程度で日本の不動産に最大で約8400億円を投資すると報じられたことも好材料の一端だ。ウォーレン・バフェット氏が率いる米投資会社バークシャー・ハサウェイによる総合商社の大量保有が伝えられて以降は、バリュー(割安)株の循環物色が継続しており、これを後押しする支援材料となってこよう。米国のハイテク・テクノロジー株の調整をにらみつつ、全体相場は踊り場を形成しそうだ。
物色的には、引き続きバリュー株の循環物色とともに、28日を権利付き最終日とする9月末割り当ての配当、株式分割、株主優待の各種権利取りが最終局面を迎えてくることが相場の下支え要因として働いてくる。デジタル庁創設や通信料値下げといった新政権の政策関連テーマ物色も注目される。
イベントとしては、23日から27日の「東京ゲームショウ2020オンライン」開催によるゲーム株への材料提供が期待できる。一方、IPOは24日に3銘柄、25日に2銘柄が登場する。翌週には4銘柄のIPOが控えてIPOラッシュに入ってくる。市場から推定3700億円超を調達する大型上場のキオクシア<6600>のブックビルディングも25日までのスケジュールとしてある。全般は営業日数が3日間に限られることもあり、個別株物色が主流となるだろう。
今週の主な国内経済関連スケジュールは、21日は敬老の日、22日は秋分の日でともに東京市場は休場、23日に7月全産業活動指数、8月コンビニエンスストア売上高、「東京ゲームショウ2020オンライン」開催(27日まで)、24日に7月14・15日開催の日銀金融政策決定会合議事要旨、25日に8月企業向けサービス価格指数が予定されている。
一方、米国など海外主要スケジュールは、21日に米8月シカゴ連銀全米活動指数、22日に米8月中古住宅販売件数、23日に米7月FHFA住宅価格指数、24日に米8月新築住宅販売件数、EU臨時首脳会議(25日まで)、25日に米8月耐久財受注の発表が予定されている。