ショッキングな数字が明らかになった。警察庁が発表した数値によると、今年8月の全国の自殺者数が昨年同期比で246人増の1849人となった。その内訳は、男性が60人増に対して女性が186人増。新型コロナウイルスが女性を死に追いやっているとも考えられそうだ。
この数字を読み解くためには、「今日の経済の冷え込みを読み解く必要がある」、とは第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣さん。
「今年4~6月期の実質GDPは前期比で年率28.1%減です。リーマン・ショック後の17.8%減を上回り、統計開始以来最悪の落ち込み方です」
その影響が身近に感じられるのはこれからだという。
「経済の冷え込みが失業者数に影響するまで、半年ほどの時間差があります。ですから今年の年末には、失業者がいま以上に増えているでしょう。そして、リーマン・ショック後の不況は“男性不況”といわれていましたが、コロナ禍での不況は女性の雇用を直撃しているのです」(永濱さん)
いわば、“女性不況”の様相を呈しているのだ。永濱さんが続ける。
「まず、新型コロナの影響を最も受けた飲食業や小売業、観光業などは、もともと女性比率の高い職場だったことです。小売業は今年2月から5月の3か月で55万人の就業者が消失していますが、そのうちの3分の2が女性です。
次に、女性の割合が多い非正規労働者からリストラされたこと。非正規は景気が悪くなれば解雇されやすく、雇用の調整弁として使われやすいのです」