「年金カット」からの解放
働いて収入を得て、年金を増やす──今後、この大原則をとことん突き詰めることが重要になる。
今回の法改正の目玉のひとつが、「在職老齢年金制度」の見直しだ。現在、64歳まで会社で働きながら厚生年金を受け取る場合、「給料と年金の合計が月28万円」を上回ると超過分の半額の年金がカットされる。
だが、2022年4月以降は、カットとなる基準が「給料と年金の合計が月47万円」へと大幅緩和される。具体的にどうなるか。年金が10万円のケースで考えてみよう。
現行制度で年金を全額受給するには、働き方をセーブして給与を18万円に抑える必要がある。まだ健康だからとバリバリ働き、月給が38万円以上になると年金10万円が丸々カットされる。一方の新制度では、月給37万円まで年金がカットされない。60代以降も年金を満額受給しながら働き続けることが可能だ。
最も得するチャンスがあるのは、65歳前に「特別支給の老齢厚生年金」がもらえる世代だ(男性1961年4月1日以前生まれ、女性1966年4月1日以前生まれ)。
現在61歳の男性が63歳から年金10万円を受け取って月給37万円で働く場合、これまでなら年金がほぼ全額(9.5万円)カットだったところ、新ルールのもとでは1円も減らず、受給額は2年間で228万円アップする。
※週刊ポスト2020年10月16・23日号