雨の日は地下街や地下通路を活用することは都会人にとって常識だ。万が一の事態が生じるほど危険な雨量とはどの程度なのだろうか。東京都職員として江戸川区土木部長などを歴任、『水害列島』の著書もある土屋信行さんが解説する。
「東京では1時間あたりの雨量が50mm、大阪は60mmまでなら基本的に耐えられるように設計されています。しかし最近は1時間あたり100mmといった桁違いの大雨が頻繁に降るようになってきた。今後は東京でも100mmまで耐えられるようにしようと長期計画が立てられています」
水害は地震と違い、ある程度の予測が立てられる災害である。住んでいる土地にどれほどのリスクがあるかを知り、危険を避けたい。昨年発生した佐賀豪雨では、こんな逸話がある。
「地域一帯が浸水し佐賀の順天堂病院も孤立しましたが、病院長はまったく騒がなかった。なぜなら、1階は堤防より低く浸水リスクがあることを知っていたため、備蓄物資や検査機器など大事なものはほぼ2階以上に設置していたのです。そのため1階が泥の海になっても、通常通りの医療行為を続けられた。地域のリスクを理解したうえで患者さんの命を守った好例です」(土屋さん)
ひとたび巻き込まれれば、即座に命にかかわる水害。事前の準備ととっさの判断力で身を守ろう。
※女性セブン2020年10月22日号