自宅を処分するしかなくなったら
いよいよになれば「自宅を処分」すればなんとかなる。その考えは甘い。
「いまはコロナ禍で苦しい人が多いが、金融機関と借り換えや条件変更を交渉し、できるだけ売却を踏みとどまったほうがいい。ポイントは自宅を売却しても借金が残るオーバーローンになっているか、逆に売却すれば現金が残るアンダーローンかです。
自宅の不動産価値が高い後者であれば、売却も含めて選択肢が広がる。また、住宅金融支援機構には『シルバー返済特例』制度がある。70歳以上で返済が困難な人が対象ですが、毎月の返済は利息分だけで住み続けることができるし、残債は本人が亡くなったときに自宅売却で清算されます。赤字でも相続人に請求されることはありません」(同前)
民間銀行から借りている場合も、適用条件は厳しいがリバースモーゲージ(※注1)やリースバック(※注2)といった似た仕組みがある。
【※注1/自宅を担保にして、一括や年金形式で金融機関から融資を受けることができる高齢者向けのローン制度。契約者の死亡時に持ち家を売却してローンを返済する】
【※注2/自宅を第三者に売却し、売却先と賃貸借契約を結んで、元の所有者がそのまま住み続ける仕組み】
年金で住宅ローンを払う時代には、まず「家は子孫に残すもの」という考え方を捨てることで、人生設計の自由度が増すのかもしれない。
※週刊ポスト2020年10月30日号