定年後も70歳まで、あるいは75歳まで働くのが当たり前となってきた、今の時代。仮に早期のリタイアを決断しても、しばらくたって「やっぱりもう一度働きたい」と思い直す人は少なくない。「お金の不安が消えない」「やることがない」「社会との接点が欲しい」など理由はさまざまだが、そう思いながら「いまさら雇ってくれるところなどあるのか」と就職活動をためらう人もいるという。社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの北山茂治氏は言う。
「たしかにいったんリタイアしてから数年経ってまた社会復帰しようとしても、元いた会社も含めて多くの企業はブランクのある人の雇用を敬遠する傾向があります。
ただし、資格があれば別です。そのブランクの間に資格を取っていれば、再就職の有力な武器になる。少し難しい資格でも、リタイア後は勉強する時間は十分にあります。高齢者でも取得しやすく、求職でも有利になる資格としては、マンション管理士、ボイラー技士、消防設備士、介護福祉士、調理師などが挙げられます」
たとえばボイラー技士の資格は取得までに平均して3~6か月はかかるが、オフィスビルやマンション、商業施設などのボイラー設備の点検・整備を担う人材として重宝される。
「ビルのメンテナンス業務の需要は今後もなくならない。しかも普通の清掃員と違って技術職の有資格者は高給が期待できる。たとえば求人状況を見ても、ビル清掃が月収10万円までいかないのに対し、ボイラー技士は月収20万円超えもザラです」(不動産管理会社)
1つの資格が金銭的にも精神的にも強い味方になる。