「かかりつけ医」がいなくなる
コロナの影響は医療業界にも及ぶ。厚生労働省が発表したデータによると緊急事態宣言が出た5月には、外来患者は2割減少。訪問診療などを手掛ける心越クリニック(東京都品川区)の岩間洋亮院長が語る。
「緊急事態宣言後も通院患者が戻らず閉鎖するクリニックが出始めています。規模の大きい病院でも、収益が悪化して金融機関から融資を受けたところがあるほど。医師会の先輩方は、『バブル崩壊やリーマンショック、大震災と比べても今回は圧倒的に苦しい』と口を揃えています」
クリニックや病院の連鎖倒産となれば、「看取り」の計画が大きく狂う。
「かかりつけ医に『いざという時は死に水を取ってほしい』『安心して最期を過ごせる病院を紹介してほしい』と相談していた人も、そのクリニックが倒産してしまえば、“理想の死に場所”を失う事態になる」(同前)
そうした状況に備えるには、「かかりつけ医への通院に頼るのではなく、自宅での治療や看取りに対応できる訪問医療専門の医者や病院を探しておくといい」(介護評論家の佐藤恒伯氏)という。
※週刊ポスト2020年11月6・13日号