子供の教育のために頼んだ家庭教師。実際に授業を受けてみないと、相性や教え方のうまさはわからないが、いざ合わなかったときにはトラブルにつながることもある。家庭教師の解約トラブルに関する悩みについて、弁護士の竹下正己氏に回答してもらった。
【相談】
高校生の息子のために個人契約の家庭教師を頼みました。当初は大学受験までの約8か月間の予定で話をしていましたが、実際に授業を受けてみると「教え方が下手でわからない」と息子が言うので、1か月ほどで解約を申し出ました。すると、家庭教師から「中途解約の解約金として2か月分の授業料を払ってほしい。解約金については最初に説明したはずです」と言われました。しかし、契約書もないし、解約金のことを事前に聞いた覚えもありません。2か月分も支払う必要がありますか。(神奈川県、43才・会社員)
【回答】
依頼した相手が何人も子供を教え、その報酬で生活している場合、家庭教師業をしていることになります。
事業者である家庭教師に依頼した場合、2か月以上継続の家庭教師で謝礼が5万円以上であれば、特定商取引法の定める特定継続的役務提供になり、事業者は契約時に、法の定めるさまざまな事項を記載した書面(法定文書)を相手に渡す必要があります。
相手方はこの法定書面を交付された日から起算して8日以内であれば、文書により契約の解除ができ(クーリングオフ)、解除されると事業者は違約金を請求できません。それどころか、実行済みの授業に対する報酬の請求もできず、受け取ったお金を返す義務が生じます。
契約書だけでなく、何の書類もなければ、まだ法定文書の交付がない状態なので、その場合、いまからでも解除通知ができます。通知はFAXなどでも可能ですが、後日のトラブルを避けるため、確実に解除したことが証明できる内容証明郵便で通知するのがよいと思います。