マイカーを所有していると何かと維持費がかかるもの。一方で普段車に乗らない人からすれば、何にどれぐらいかかっているのか、なかなか理解しにくいのかもしれない。そうした意識の差が、人間関係に亀裂を入れることもある。フリーライターの吉田みく氏が、趣味のゴルフ仲間に不満を募らせる70代女性の思いをレポートする。
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「高速料金ってタダじゃないんですけど!」──そう憤りながら語ってくれたのは、都内在住の無職、佐久間恵美子さん(仮名・70歳)。定期的に開催される仲間同士のゴルフ会で、メンバーに文句があるそうだ。
佐久間さんが所属している趣味のゴルフグループは、50〜80代までの男女15人程度が名を連ねている。そのメンバーでのゴルフ会が始まったきっかけは、今も通うゴルフスクールの仲間からの誘いからだった。
「車を出せるメンバーが少ないので、私が運転手になることが多いんです。うちの車は10年以上前に購入したセダンで、ハイブリッドでもないため燃費が悪く、リッター7キロしか走りません。ガソリン代がけっこうかかるので、ゴルフの時は同乗1人当たり、ガソリン代として500円を貰っています」
都内から50キロ以上離れたゴルフ場へ行くことが多いため、ガソリン代を持ち出しにしないためにはこの金額がギリギリとのこと。しかし、佐久間さんには、まだモヤモヤとしていることが残っていたのだ。それは高速利用時のETC料金である。
「誰一人として高速代のETC料金を払おうとしないんです。場所によりますが、往復5000円以上かかるのが常です。請求しない私も悪いのかもしれないですが、まさか、500円の中にそれが含まれているとでも思っているのでしょうか」
佐久間さんは、自動で通過できるETC利用では料金が発生しているという感覚が同乗者に薄いのではないか、と推測する。「高速道路はタダと勘違いしている人もいるのでは」と、呆れ顔だ。