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今年の冬の寒さは厳しそう 「平年並」予報なのになぜ?

寒さが最も厳しくなるとされる「大寒の日」(2018年、写真/時事通信フォト)

 毎日何気なく目にする天気予報。だが、通勤や移動、旅行の計画から健康状態まで、天候の変化は日々の暮らしに大きく影響するもの。気象予報士の田家康さんが、旬なテーマをピックアップし、知って得する天気のお役立ち情報を伝える。今回は、例年より厳しいとされる今年の冬の寒さについて解説する。

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 気象庁は、毎月25日頃に「3か月予報」を発表する。10月23日に発表した、11月から来年1月までの3か月予報に対する気象庁の解説は次のとおりだ。

「向こう3か月の気温は、北日本では寒気の影響を受けにくいため、平年並か高いでしょう。東・西日本と沖縄・奄美は、ほぼ平年並の見込みですが、11月は平年並か高く、12 月は平年並か低い見込みです」

 これを深読みすると、「今年の冬は、東日本より南の地域ではここ数年で特に寒く感じられる」ということが言えそうだ。それはなぜか。詳しく説明する前に、まず3か月予報を算出する際に考慮される「バタフライ効果」について説明したい。

 長期の気象予報が難しいことは、「カオス理論」で説明されることが多い。最初は見落とすほどのごく小さな動きが、その過程で変動するあらゆるものの影響を受け、長時間経つと増幅し、最終的には全体を混沌とさせるほどの大きな動きになる。「ブラジルの一羽の蝶の羽ばたきが、アメリカでハリケーンを引き起こす」という例えが有名で、この「バタフライ効果」はカオス運動の予測がいかに難しいかを表現している。

 気象予報では、この予測困難なバタフライ効果を制御しながら長期の予報を行う手法として、「アンサンブル予報」というものがある。蝶の羽ばたき方によってその後の天気が変わるなら、その羽ばたき方のシナリオをあらかじめ何種類か用意し、複数の結果を組み合わせたものを予報にすれば良い、というものだ。コンピュータでいくつもの計算結果を出力し、それらを合奏(アンサンブル)させて予報に活かす。3か月予報では、51個のシナリオを用意し、それぞれの計算結果により、平年に対して気温が低いのか、平年並か、または高いのかを確率で示している。

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