住んでみたい街の理想と現実には、得てして大きな差があるものだ。憧れのあの街は果たして本当に素敵な街なのか? まったくノーマークだけど、実は住みやすい街は? 今回は「浅草橋」(東京都台東区)について、ライターの金子則男氏が解説する。
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東京都内には、「青梅と青海」「目白と目黒」「五反田と五反野」「保谷と谷保」「千川と仙川」など、思わず間違えてしまいそうな駅の組み合わせがいくつもありますが、間違える人が特に多そうなのが「浅草と浅草橋」。両駅は2km以上離れており、浅草橋駅構内には「ここは浅草ではありません」という旨の注意書きも貼られています。これは、もともと神田から北の一帯が「浅草」と呼ばれていたために生じた事態。“まったく別の街”ではありませんが、注意が必要です。
浅草は東京を代表する観光地で、SUUMOの「住みたい街ランキング」でも65位(2020年版)にランクインしていますが、実は浅草橋も負けず劣らず魅力的。住みたい街ランキングではノーマークの街ですが、隠れた実力者です。
鉄道はJR総武線と都営浅草線の2線。秋葉原まで2分、日本橋まで5分、東京駅まで乗り換え時間込みで10分程度と、オフィスや商業の中心地までのアクセスは抜群です。都営浅草線経由で羽田・成田の両空港へは乗換なし。近隣には駅が密集しており、半径1km以内には、馬喰町、馬喰横山、東日本橋、蔵前、両国、新御徒町、秋葉原、岩本町、小伝馬町など、地下鉄を中心に多様な路線の駅が存在します。目的地によって路線を使い分ける事も可能で、鉄道の便は都内最強クラスです。
道路状況も非常に良好です。駅の目の前には江戸通り(国道6号)、すぐそばには靖国通り・京葉道路(国道14号)があり、首都高速入口へのアクセスも良く、車ユーザーにも申し分のない状況です。道も碁盤の目状になっているので分かりやすく、迷う心配も無し。強いてマイナスポイントをあげれば、川に行く手を阻まれることがあるくらいでしょうか。