今週の日経平均は、24000円の大台を固めつつ、2018年10月2日の取引時間中にマークしたバブル後最高値の24448.07円の更新を意識する展開となってきそうだ。日経平均上昇の道筋を作ったのは米国株高であることは間違いなく、引き続き大統領選の結果を見据えた米国株の動向に影響を受けることになりそうだ。
正式な結果判明が遅れている大統領選と法廷闘争に持ち込まれた場合の混乱度合いなど、米国政局は短期的には不透明感と不安定さが残る。しかし、米国議会選挙において、共和党が上院過半数を維持する可能性が強まり、バイデン大統領誕生の場合でも民主党が提示している大型の企業増税や規制強化は大きく進展しないとの見方が株式市場にプラスに働いている。
また、4-5日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では事前予想通り政策金利が据え置かれたほか、パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長が会見において状況次第で量的緩和を拡充する可能性をも示唆したことが相場の支援材料としても働いている。6日は為替相場が3月以来およそ8カ月ぶりに1ドル=103円台への円高となったものの、日経平均が連騰を維持した背景には、このFOMC効果もあったとみられる。
また、パナソニック<6752>、ソニー<6758>、任天堂<7974>、そしてトヨタ<7203>と市場への心理的な影響が大きい企業の決算は総じて堅調で、発表後の株価も好反応を示している。ここまでの主要企業の企業業績は事前予想に比べてポジティブだったことも、日経平均がリスクオンにシフトチェンジすることに寄与したといえるだろう。
ただし、欧米での新型コロナウイルス感染拡大の警戒材料は継続しているほか、日経平均は4連騰の期間で値幅にして1348円強の上昇を見ており、スピード調整も出やすいタイミングにある。底堅さを試す中での強調展開が予想される。
物色的には景気敏感株の出遅れ循環物色が焦点となってこよう。6日の東京市場の主要株価指数ではマザーズ指数が唯一、反落している。グロース(成長)株に利益確定の売りが出る一方、景気敏感株に資金流入が見られる。マザーズ指数、日経平均が年初来高値を更新するなか、TOPIX(東証株価指数)は1月の年初来高値1745.95ポイントまで87ポイント強の値幅を残している。
今後の企業決算はコロナ禍で影響を受けている内需系企業の発表が主体となってくる。9日にソフトバンクグループ<9984>、10日に富士フイルム<4901>、鹿島<1812>、11日に三菱地所<8802>、東芝<6502>、12日に楽天<4755>、日産自動車<7201>、そして最終発表ピークの13日は三菱UFJ<8306>、日本郵政<6178>が発表を予定している。
今週の主な国内経済関連スケジュールは、9日に9月景気動向指数、10月28、29日開催の日銀金融政策決定会合の「主な意見」、10日に10月景気ウオッチャー調査、9月の国際収支、11日に10月マネーストック、10月工作機械受注、12日に10月国内企業物価指数、9月機械受注、10月都心オフィス空室率、13日にオプションSQが予定されている。
一方、米国など海外主要スケジュールは、10日に中国10月生産者・消費者物価指数、米アップルが新作発表イベント開催、11日に中国で大規模ネット通販セール「独身の日」、ベテランズデー(退役軍人の日で株式、商品市場は通常取引、外為、債券市場が休場)、12日に米10月消費者物価指数、米10月財政収支、13日に米10月生産者物価指数、米11月ミシガン大学消費者マインド指数が予定されている。