「バイデン氏の勝利宣言」、「新型コロナウイルスのワクチン開発が大きく前進」と、続々と伝えられる米国発の“吉報”を受けて、日経平均株価はバブル崩壊後以来29年ぶりの株高に沸いている。その後も騰勢に衰えは見えず、市場は「買うから上がる、上がるから買う」というマネーゲームの様相を呈している。突如、降って湧いたような株高で、投資家はここぞとばかりに儲けているかと思いきや、「ベテラン個人投資家ほど損している」実態があるという。カブ知恵代表の藤井英敏氏が話す。
「10万円の特別定額給付金や持続化給付金などを元手に、新たに株式投資を始める『給付金トレーダー』が急増しています。米国でも『ロビンフッダー』と呼ばれる個人投資家の新規参戦が相次いでいるようですが、彼らのような初心者は『上がるから買う』を繰り返して現在の相場に上手く波に乗れている反面、実は経験豊富なベテラン投資家ほど波に乗れず損している状況です」
藤井氏によれば、異例の株高が投資家の判断を狂わせ、これまでなら儲けられる可能性が高かった「常道」パターンもことごとく通用しなくなっているという。長年にわたり株式投資を行ってきた個人投資家のA氏(50代/男性)が嘆く。
「これまで日経平均株価には、2万4000円を上抜け出来ない厚い“壁”が存在していました。29年もの間何度も上昇局面がありましたが、その度にこの2万4000円の壁に阻まれてきた。今年1月にも2万4000円を一瞬超えたものの、その後『コロナ・ショック』で再び暴落し、いくら株価が上がっても目前で跳ね返される“鉄板の天井”だったんです。
だから、11月に入ってからの株価上昇も、いつものように2万4000円で止まると見て『空売り』(値下がりすると思われる株を借り、その株を高値で売って安くなったところで買い戻して利益を出す手法)をかけていたのですが、あっという間に2万5000円を超えてしまった。今のところ株価が戻る気配も無く、もはや手の打ちようがありません。現時点の含み損は500万円を超えています……」