焼き畑などの野焼きは春先の風物詩ですし、秋の煙も郊外生活の楽しみということで済めばよいのですが、季節にお構いなしの野焼きでは、農業に不可欠なものか疑問です。煙で家が汚れる恐れがあれば、あなたは受忍限度を超えた不利益を受けているといえるかもしれません。程度がひどくなれば健康被害の心配もあります。
また、燃やしているゴミに農作物の残渣以外の生活ゴミ等が混ざっていれば、明らかに条例違法です。不法行為にもなることですから、あなたから農家に対して、違法な野焼きの中止を求め、聞き入れない場合には市役所等の公害調停を申し立てたり、裁判所に野焼き差し止めや損害賠償の請求をすることもできます。
しかし、農家に直接注意したり要請しづらいとすれば、まずは役所の公害担当者や農業委員会に相談することをおすすめします。市民からの苦情があれば、焼却の方法などについて農家を指導してくれることが期待できます。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2020年12月3日号