投資

高値更新の株式市場を待ち受ける「コロナ禍でバブル崩壊」の悪夢

シラーPER25倍超えの期間は78か月に到達

 定量的な観点からも、異常さがわかる。シラーPER(株価収益率)という株価の割高感を示す指標がある。ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授が考案した指標で、この指標が25倍を一定期間超え続けると、その後にバブルの崩壊が起きるというのが、これまでの経験則だ。

 たとえば、ITバブルの時はシラーPER25倍超えが79か月、リーマンショックの時は52か月連続した後で暴落がやってきた。実は今年の3月の株価急落を見て、私はバブル崩壊が始まったと思った。米国株でいうと、今年3月時点でシラーPER25倍超えが70か月続いていたからだ。

 しかし、その判断は間違っていた。3月末に25倍まで下がったシラーPERは再び上昇を始め、10月末には32倍となった。つまり、3月の株価下落はコロナ禍での一時的な調整で、バブルはまだ継続中だったのだ。そして、その継続期間は11月末で78か月に達する。

 シラーPER25倍超えの継続期間が、ほぼITバブル期と並んだのだから、私は今後いつバブルが弾けても不思議ではないと見ている。

 コロナ禍のなかでバブルが弾けた時の痛手は致命的で、日本経済は深刻な長期低迷を余儀なくされることになる。おそらく、日経平均は現在の半分以下の水準まで急落するだろう。最悪の場合には、1万円割れまで考えられる。

 だから私は、株式投資をするなら、バブルが弾けて割安で買えるようになってからでもよいと考えている。一歩引くのも重要な投資戦略だ。その一方で、今では株価が下がる局面でも利益を出せる金融商品も増えている。たとえば日経平均インバース・インデックス連動型上場投信のようなETF(上場投資信託)なども選択肢になるだろう。もちろん、そうしたベア型の金融商品に投資する場合でも、購入時期は、株価の下落トレンドが明確になってからが鉄則であろう。いずれにしても、バブル崩壊に備える投資戦略が求められているのではないか。

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