投資情報会社・フィスコが11月30日~12月4日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は下げ渋りか。米国での新型コロナウイルス急拡大を背景に制限強化による景気減速への懸念は消えていない。米国株式が下落し、安全資産である米国債への資金シフトが観測された場合、リスクオフのドル買いが見込まれる。米国内でのコロナ感染が急速に拡大し、各州は制限強化に乗り出している。ミシガン州やミネソタ州では高校や大学、娯楽施設をクリスマス前までをメドに閉鎖。当局は感染がさらに拡大する可能性があると警告しており、経済への影響は避けられないもよう。
直近発表の経済指標では、製造業、サービス業購買担当者景気指数(PMI)は堅調だったものの、小売売上高や消費者信頼感指数などは市場予想を下回っている。特に、雇用関連指標である新規失業保険申請件数は高止まりし、12月4日発表の11月雇用統計で雇用回復ペースの鈍化が示された場合、金融緩和観測が広がりやすい。米連邦準備制度理事会(FRB)は12月15-16日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の据え置きを決定する公算だが、11月開催分の議事要旨では資産購入プログラムの対象年限の長期化が議論されたことが判明しており、今後のガイダンス強化が見込まれる。
一方、欧州中銀(ECB)の理事会を翌週に控え、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)と条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)を軸に一段の緩和を進める方針が注目されそうだ。ECBによる追加緩和は織り込み済みだが、ユーロ売り・ドル買いが優勢となる可能性があり、ドル安・円高の圧力は弱まろう。
【米・11月ISM製造業景況指数】(12月1日発表予定)
12月1日発表の米11月ISM製造業景況指数は57.6と、10月の59.3を下回る見通し。コロナ再拡大による制限措置の強化を反映し、株売り・ドル買い要因となろう。
【米・11月雇用統計】(12月4日発表予定)
12月4日発表の11月雇用統計は、失業率6.8%、非農業部門雇用者数は前月比+50.0万人、平均時給は前年比+4.2%と予想される。雇用者数の減少で回復の足踏み状態が示されれば、金融緩和の思惑が広がりそうだ。