「オンライン授業に価値を感じない」と、退学を選ぶ学生も少なからず出ているが、それはあまりにも性急だ。新型コロナの猛威は、あとどれくらい続くかわからない。逆にいえば、来年には急転直下、収束している可能性もあるからだ。東進ハイスクール広報部長の市村秀二さんもこう話す。
「それに、大学のオンライン授業は、いまは未発達な部分が大きい。オンライン講義ばかりの現状だけを見て絶望するより、大学に籍を置き、自分の可能性を模索することの方に目を向けるべきです。
たとえ志望した大学に入れなくても、入学後に資格取得やTOEICの勉強をすればいい。筑波大学の総合選抜が入学後に体育専門学群以外の学部に移行できるように、入って1~2年経ってから専門分野を決められる大学が増えてきました。いまや『学歴』より『学習歴』の方が価値があります」
大学選びは、「何を与えてくれるか」ではなく、「自分が将来何をしたいか」を主体に考えるべきだ。そしてそれが叶う環境が整っているかどうかが大きなポイントになる。
「『面倒見が良い大学ランキング』では、金沢工業大学などの上位は変動がありませんが、昨年48位だった中央大学は、3月に『学生支援指針』を発表して14位に、86位だった立教大学は金沢工業大学に続いてかなり早くにオンライン講義を導入して18位になるなど、コロナ禍を経て急激に順位を上げた大学がいくつかあります。有事の際に迅速な対応で学生を支援して教育機会を守ったことが評価されているのでしょう」(安田さん)
降って湧いたコロナ禍で「広い視野を持ち、柔軟かつ迅速な対応ができる」──そんな大学が浮き彫りになった。
※女性セブン2020年12月3日号